総領事便り

平成29年8月8日
  エディンバラの8月は、フェスティバル一色になります。1947年、第2次大戦の傷痕がまだ生々しかった時期に、ヨーロッパの人々のこころを芸術を通してつなげ癒やしかつ励まそうとの願いから、エディンバラ・フェスティバルが始まりました。当初は、演劇・オペラ・シンフォニー・バレーといった本格的な舞台芸術が主体のフェスティバルでしたが、年が経つにつれポップミュージック、コメディ、現代舞踊、サーカス、人形劇等にいたるまで、ありとあらゆる分野のパフォーマンスが繰り広げられるFringe(フリンジ)と呼ばれるお祭りに発展しました。
 この時期は同時にエディンバラではミリタリータトゥーと呼ばれる軍楽隊による壮大なスペクタクルがエディンバラ城入り口前の広場に設けられた仮設スタジアムで毎晩繰り広げられます。さらに今年は嬉しいことがあります。初めての日本からのミリタリータトゥーへの参加として、陸上自衛隊の音楽隊がその技倆を披露していることです。日本らしさを出すための工夫も凝らされており、またソロ歌手(歌姫)として、松永美智子さんが素晴らしい歌声を聴かせてくれます。陸上自衛隊のパフォーマンスの際のみならず、フィナーレでも彼女の美声が会場全体を魅了しています。この時期にエディンバラを訪問されている方々には、是非とも観ていただきたい公演です。
 なお、この時期にはブック・フェスティバルも開催され(会場はシャーロット・スクエア)、世界中から作家や著述家が集まり、パネル・ディスカッションを行い、会場に集まった聴衆からの質問やコメントを受けつけた後、著書へのサイン会が行われます。仮設テントの本屋さんでは、ふだん店頭に見かけないような本も各種並べられ、本好きには願ってもない至福のときを味わうことが出来ます。
エディンバラの8月は、朝晩など夏とは思えないほどひんやりしますが、文化活動が醸し出す熱気が相当のものなので、釣り合いがとれてちょうど良いかも知れません。しかし、ミリタリータトゥーご鑑賞の際は、是非防寒具を忘れないよう気をつけてください。
 それでは、皆様8月のエディンバラで文化三昧をこころゆくまで味わわれますように。