2019新年祝賀会での髙岡総領事の挨拶

平成31年1月26日
新年明けましておめでとうございます。平成最後となる初春を、皆様におかれましては、穏やかに迎えられたこととお慶び申し上げます。

本日は,ご多忙の中,ようこそいらっしゃいました。初めてお目にかかる方も多いと存じますので、この新年のご挨拶を、自己紹介から始めさせていただきます。昨年十月に在エディンバラ総領事として着任しました、高岡望と申します。
年も改まり、総領事館館員一同,昨年同様全力で職務に邁進する所存ですので,引き続き当館へご支援,ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
昨年の新年会も盛況で、この総領事公邸が大変混み合っていたと伺っております。今年は今まで開かずの間であった玄関入ってすぐ、階段前の応接室を片付けて、椅子とテレビモニターを用意しました。乾杯の後は天皇皇后両陛下のご様子を宮内庁提供のビデオでご覧いただけますので、お疲れの方は今からどうぞそちらにお座りいただければと思います。
まさに本年は、今上天皇両陛下のお写真にお見守りいただきながらの最後の新年会となります。本日も多くの方が、平成の三十年間を振り返っておられることでしょう。
思えばベルリンの壁の崩壊で幕を開けた平成は、まさに激動の時代でありました。そしてその大きな歴史的転換に直面し、日本もイギリスもスコットランドも、国や社会のあり方が、厳しく問われた時代でした。
そしてこの平成最後の年にあたっての、当館の最大の課題は、間違いなくBrexitへの対応と、その中で日英関係、日スコットランド関係をいかに発展させていくかということであります。皆様お集まりのこの貴重な機会をお借りして、私の所見を手短に述べさせていただきたいと思います。
私はBrexitのことを、イギリスの民主主義の気まぐれがもたらした、ヨーロッパの政治経済の標準的な流れからの逸脱だなどとは考えておりません。むしろ、この平成の時代に地球社会が直面した、グローバリズムの高まりとその反作用のぶつかり合いという世界共通の大問題に、イギリス国民が悩みながらも結論を出そうと日々努力しているそのプロセスの一里塚であると、そのように考えればよいと思っております。
平成の最初のころ一部でもてはやされたように、EUがすべての問題を解決できる万能薬でなかったことは、今では誰でも知っています。詳細は、そちらの両陛下のお写真の左側の本棚に並んでいる、私の著作でも論じたところですが、ギリシャ危機しかり。難民問題しかりです。
そこでEU内に残ってEUの強化に力を合わせるか、EUの外に出て新たな活路を見出すのか。決めるのはそれぞれの国の国民です。ヨーロッパの外の国である日本は、Brexitを選択したイギリス国民の民主的決定を、前提として尊重して受け止め、いかに現在の良好な日本との関係を維持するか、さらにはイギリスやスコットランドが新たな活路を見出すのに、日本としていかに協力できるかを、考えていくべきだと思います。
今年日本は、G20サミットの議長国として、世界のトップリーダーたちを大阪にお迎えします。Brexit後の経済の繁栄をグローバル経済の中でいかに維持していくのかという課題を抱えるイギリスにとっても、大変重要な会議となります。
また、ラグビーのワールドカップも開催されます。ラグビーの発祥地であるイギリスにとっては、これほど多くの国民の目が、日本に向くことは今後しばらくないだろうというほどの機会です。
このように特別な年である平成最後の年、2019年に、日本政府とイギリス政府は、日英文化季間、季間の季は季節の季です。英語ではSeasons of Cultureと言います、日英文化季間と銘打って、様々なイベントを開催する予定です。皆様も本日ご臨席のみな様におかれましても、総領事館のホームページに特設欄を設けておりますのでこまめにチェックいただき、ご都合がつけば是非参加していただければありがたいと思います。
新年早々話しが長くなりまして恐縮です。本日は,ささやかながら,正月料理を準備させて頂きました。お時間の許す限り,おくつろぎください。
それでは最後に本年が皆さまにとり良い年となることを心より祈念して,私の年頭の挨拶とさせて頂きます。